名字の言ブログ

聖教新聞の名字の言を毎日載せていきます。

名字の言 染色家として活躍する鹿児島の女性部員

2022年7月11日
 
 鹿児島県の奄美大島で晩年を過ごし、孤高の日本画家といわれた田中一村。先日、彼が描いたとされる風景画など9点が、奄美市内で見つかった。大島紬の染色工として働きながら創作を続けた一村の家の近くには、染色を行う泥田が今も残る▼「昔の泥田は男性ばかり。私は端っこで染めていました」。同市に、染色家として活躍する女性部員がいる。結婚後、一度は染色から離れた。夫が会社勤めから農業に転職し、生活が一変したからだ▼不慣れな農作業、3人の子育て。不作で多額の借金も重なった。それでも“この信心で必ず幸せになってみせる”と、時間を工夫しては学会活動に励んだ▼家業が軌道に乗った20年ほど前から、再び染色の道に。人づてで評判が広がり、作品はふるさと納税の返礼品にもなった。島の文化を伝えたいと、保育所などで「染めもの教室」も行う。「楽しい時も苦しい時も題目。おかげで、いつも“今が一番幸せ”です」▼泥染めは、泥につけるほど色の深みが増すという。人の生き方も同じだろう。ぬかるみにはまるような苦難にも、負けない心で紡いだ人生行路は、時を追うごとに輝きを増していく。不屈の祈りと挑戦で、わが人生を“幸の色”に深く深く染め抜きたい。(巍)