名字の言ブログ

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名字の言 『大漢和辞典』の諸橋轍次博士が再起した理由

大漢和辞典』は、“世界最大の漢和辞典”として名高い。その完成までに、漢学者の諸橋轍次博士は30年以上の歳月を費やした。この間、博士は何度も苦境に立たされる▼1945年2月、東京への空襲により、1万5千ページ分の版と資料が一瞬にして灰となった。追い打ちをかけるように、右目を失明。編纂を共に進めていた4人の友が亡くなった。妻も失い、編纂事業から一時、距離を置いた▼博士が再び編纂を開始する力となったのは、友の存在だった。大修館書店を創業した鈴木一平氏は、会社を挙げて事業に取り組む決心を博士に伝えた。写真植字の技術を発明した石井茂吉氏も、協力を申し出た。こうした人々の支えによって、辞典は完成した(『私の履歴書24』日本経済新聞社)▼大望を抱く者には必ず、それを共に進める友の存在がある。御聖訓に「異体同心なればかちぬ」(新2054・全1463)と。大きな理想の実現は、一人ではできない。創価の運動も、幾多の同志の献身によって、地域・社会へと大きく広がってきた▼この上半期、誰しもお世話になった人がいるに違いない。たとえ一本の電話でも、その人へ心からの御礼を伝えたい。感謝の心から、新たな前進の力は生まれる。(澪)